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見えざる腕 Lyrics

眠れぬ宵は路地裏の淫らな『牝猫』(Chatte)に八つ当たりして
嗚呼 見えざるその腕で首を絞める
『夢幻影』(Fantome de reve)壊れゆく『自我』(Ego)の痛み
狂えぬ酔いは屋根裏の『小さな居城』(Chateau)を転げ回る
嗚呼 見えざるその腕の灼ける痛み
『幻肢痛』(Fantome de douleur)安酒をあびて眠る

「アルヴァレス将軍に続け!」

黄昏に染まる古き獣の森に 戦場で出会った二人の男
金髪の『騎士』(Laurant) 赤髪の『騎士』(Laurant)
争いは廻り 屍を積み上げる
加害者は誰で被害者は誰か?
斜陽の影に刃は緋黒く煌めいて

片腕と共に奪われた『彼の人生』(Sa vie)
仕事は干され恋人は出ていった
何もかも喪った奪われた『最低な人生』(La vie)
不意に襲う痛みに怯える暮らし

「『大抵の場合』(Le plus, souvent) 貴方はうなされ殴るから
 私は この侭じゃ何れ死んでしまうわ
『さよなら』(Au Revoir)貴方を誰より愛してる
 それでも お腹の子の良い父親(Pere)には成れないわ」

『葡萄酒』(Tu Fine)
『発泡葡萄酒』(Tu Champagne)
『蒸留葡萄酒』(Tu Eau De Vie)

嗚呼 眠りの森の静寂を切り裂き また奴が現れる

馬を駆る姿 正に悪夢 赤い髪を振り乱して 振う死神の鎌
首を刈る姿 正に風車 緋い花が咲き乱れて 奮う精神の針 闇を軽るく纏った
夢から醒めた現実は 其れでも尚も悪夢の中
故に 其の後の彼の人生は 酒と狂気 廻る痛みの中
左の頬に十字傷 赤く燃える髪の鳶色の瞳

奴を 殺せと腕が疼くのだ 『見えざる腕』が疼くのだ
誰が加害者で 誰が被害者だ 死神を捜し葬ろう

「殺してくれる!!」

『騎士』(Chevalier)は再び馬に跨がり 時は黙した世界を移ろう
異国の酒場で再び出逢った『二人の男』(Laurant)

隻眼にして隻腕 『泥酔状態』(アルちゅう)にして『陶酔状態』(ヤクちゅう)
嗚呼 かつての蛮勇 見る影も無く

不意に飛び出した 男の手には『黒き剣』(epee noire)

「退け」
周囲に飛び散った『液体』(sang) 
まるで『葡萄酒』(pinot noir)

「なにもんだキサマ・・・ んっぐああああ」

刺しながら 供された手向けの『花の名』(nom) 『こんばんわ』(bon soir)

「『こんばんわ』(bon soir)」

抜きながら 灯された詩の名『さようなら』(au revoir)

「『さようなら』(au revoir)」

崩れ落ちた男の名は『Laurant』 走り去った男の名は『Laurencin』
もう一人の『Laurant』は 唯 呆然と立ち尽くしたまま

誰が加害者で 誰が被害者だ 犠牲者ばかりが増えてゆく
廻るよ廻る 憎しみの風車が 躍るよ躍る 焔のように
嗚呼 柱の陰には少年の影が 鳶色の瞳で見つめていた

「人生は儘にならぬ されどこの痛みこそ 私の生きた証なのだ」

復讐劇の舞台を降ろされ 男は考えはじめる
残された腕 残された人生 見えざるその意味を
杯を満たした葡萄酒 その味わいが胸に沁みた

「其処にロマンは在るのかしら?」
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